2016.04.22
※このレポートは事実をもとに作られたフィクションです。実在する人物とは関係があったり、なかったりします。
つくばクロスカントリーキャンプに行ってきましたー! H姐
フィールジョイ主催のクロスカントリーキャンプ(以下、XCキャンプ)に行ってきたわ。クロスカントリーというと大抵はスキーの競技種目を思い浮かべるけれど、「山野を横断して」という英語が元でパラグライダーでは上昇風を乗り継いで兎に角遠くへ飛んでいくことをいうのが多いわ。普段はランディングに届く範囲で飛ぶのが常だけど、今回のイベントは筑波エリアをとことん北に飛んでいくのが目的。
空ともから参加したのはアタシを入れて、ジュン子、ヒサ子、マコちゃんの4人。
3月26日 1日目
流石に愛知からは高速道路を使ってもかなりの時間がかかるから、夜中に移動。2時に新東名の遠州森町SAに待ち合わせて、ヒサ子の車に乗り合わせて出発。5時には茨城に入り、高速を降りてすき屋で朝食を取る。コンビニで昼食を買って、石岡市のそらとぴあショップへ向かう。朝7時すぎ、ショップ駐車場に着くと早くも先客が。最近良く会うアドベンチャーロード社長の前谷さんとあや子さん達ね。車を降りて挨拶をしていると徐々に参加者が駐車場に入ってきたわ。
朝8時、受付開始。名簿のチェックに始まり、山上げのチップコインを購入。8時半の予定を少し過ぎたあたりでブリーフィング開始。主催側の挨拶に始まり、イベントの趣旨説明、フィールドジョイの長島さんから今日の気象概況から今日の目的地、ルートの説明。空中でガイド役を務めるパイロットの紹介など。
今日のゴールは栃木県の道の駅伊王野(いおの)、直線距離で約72㎞。長島さんのフライトプランでは「テイクオフして尾根に沿って北の風車を超え、燕山で落ち合う。燕山から北西方向に向かい平野を縦断。途中、サーマルが出やすいポイントとして平野のコンクリート工場を通り高峰山へ。高峰で上げ直して、北に延びる尾根の西側丘陵地帯を通り、伊王野を目指す」と。大まかなルートを聞いたけど、行く先の想像全くつかないわ。
スクールのハイエース、神奈川の秋田山PGスクールのバスに乗り合わせてテイクオフへ上がる。今日の風向きは南風なので山道を下ってテイクオフへ歩くの。山道の途中に「TOまであと何百m。頑張って」と書かれた看板があって、リフライトはしたくないと思ったわ。テイクオフにつくと近隣のスクールテイクオフから出たパイロット達が飛んではいるものの、あまり高度は得られていないの。背中の荷物を降ろし、何時でも出られるように準備して待つ。ガイド役として参加していた和田さんから「空中で集まってからガイド毎に3つ位にグループ分けして飛ぶと思うから、初めてのエリアだから中盤のグループと飛ぶようにして乗り遅れたら、長島さんの終盤のグループに拾ってもらえば生き残れるはず」とアドバイスをもらう。
12時前、ランディングにいるスタッフから無線で情報をもらった長島さんからテイクオフの指示が出る。サーマル活動が活発になるほど気温が十分に上がってきたらしいわ。ジュン子、ヒサ子、マコちゃん、アタシの順でテイクオフ! テイクオフから東に回り尾根先でサーマルを捉え、徐々に稜線につけていく。
先にテイクオフしたジュン子が風車の辺りで先頭集団に混じっているのが見えたので、高度を上げて追いつこうとしていったら、最後にテクオフした長島さんが早々に挙げてきてに追い抜かれたわ。
「燕山上空1600mで離脱する」という長島さんの無線が入る。高度が足りなかったアタシとヒサ子、他のパイロットは燕山で耐える。途中、ジュン子らしき青い機体が風車の東側の裾野を低く戻っているのが見えたわ。後で聞いたところ、「風車から半径300mを低い高度で近づいては行けないことを意識し過ぎで、高度をロスしちゃった」らしいの。風車の少し北は十分な高さであれば採石場らしき場所から強いサーマルが出ていたんだけど、残念ね。
1600mを超えたところで長島さんと同じくコンクリート工場側ではなく東回りの経路で平野に出る。途中、ゴルフ場で上げている赤いアドバンスの機体と青いジンの機体に混じりつつ、900m位の高度で高峰山まで辿り着く。高峰山を1300mで離脱したという無線を参考に上げ直そうとしたんだけど、強い上昇風が少なく段々と東に流されたわ。途中、ヒサ子が集団で北上していくのを見送りながら耐え続けるんだけど、次第に「お花を摘みに行きたいわ…(隠語ね)」という気持が出てきてソアリングに集中できなくなったの。平野部に出られそうもなかったため、真下に見える採石場の空いたところを狙いランディング。無理して低く進み木に引っかかるより、重機が入ってこれそうな場所である分、下山は楽そうと判断したつもりよ。降りてGPSにポイントを入れて、お花摘み。途中、長島さんから雲底高度2000mまで着けたと羨ましい無線が入ったのを覚えているわ。
携帯電話のショートメールでスタッフ携帯に無事に降りたことと降りた座標(度分秒)を連絡、パッキングして山を下りて回収されやすいような道を目指す。カメラが壊れて写真が無いのが残念だけど、雨で山道が流されたらしく、所々道なき道となっていたわ(だから、重機が残されたままだったのね)。山道の途中まで電信柱が立っているのでそれに沿って下山したわ。スタッフから降下地点の確認メールが来ていたので、下山している旨を返信。平野の道まで出たところでGPSの電源を入れ衛星を受信するまで待ってると、スタッフから途中で電話が入ったの。どうやら回収車が近くまで来ているみたいで西に向かって少し歩き、ガソリンスタンド前で回収されたわ。別の車と合流し、北方面にある道の駅茂木(もてぎ)へ他のパイロット達の回収に向かったの。山道を通りながらウトウトとしていると何時の間にか道の駅茂木についていたわね。そこで女性パイロット1人を回収。この道の駅って栃木県だからいちごのソフトクリームが人気らしくて、買いに行ったら行列ができていて食べられなかったのが残念だわ。
少し北に走ったところにあるコンビニで男性3人を回収。途中脱落組の悔しい思いを聞きながら帰ることになったわ。ちなみに、女性パイロットさんは夫婦で参加していて、途中ダンナさんから伊王野にゴールしたってメールが着て、とても悔しがっていたわ。
1時間ほどかけてショップ前に戻ると、ジュン子とマコちゃんがいたの。マコちゃんはあまり上げられずにテイクオフの北の尾根を越えたあたりでアウトランしたみたい。この場にいないヒサ子は途中で長島さんに追いつき、60㎞ほど北までいったそうよ。やるわね、ヒサ子。ショップで帰着申告をし、ヒサ子が帰ってくるまで2時間近くかかると聞いて、今日の宿泊所・青峰館へ移動。ヒサ子が車のカギを持ったままだったので、他の車を誘導するスタッフの車で移動。青峰館にもお風呂はあるけどお湯を張るのに時間がかかるので、近くにある温泉施設『ゆりの郷』(←別に深い意味はないわよ)へ行くことになったわ。ショップに戻るスタッフカーで途中まで送ってもらったわ。手荷物はヒサ子の車なのでレンタルタオルを借りてお風呂へ。ここのサウナは天然ハーブサウナになっていて、今日はペパーミントの香りだったわ。お風呂を上がり、同じように回収されたキャンプ参加者と食事をしつつ、ヒサ子を待つの。ジュン子、マコちゃんの二人はビールなんて飲み始めちゃって。アタシはお酒飲めないから、アロエとグレープフルーツの健康ジュースにしたわ。9時過ぎにヒサ子がやってきたんだけど、食事処のラストオーダーが9:30なので風呂だけ済ませてもらって、近くのコンビニへ買い出しに。青峰館に帰ってきて2次会が始まる。他のパイロット達が宴会している部屋にお邪魔。七曲エリアを飛んでみたいという話が出たので、デジカメを持ってきて写真を見せて紹介し、まだ見ぬエリアに期待に胸を膨らまてもらったわ。睡眠不足は美容の大敵だから、アタシは12時前には布団に入ったんだけど、他の3人は3時まで宴会の場にいたみたい。夜中五月蠅くなって目が覚めたのを覚えているわ。
3月27日 2日目
昨日のGPVの予報では雨雲がかかる予報だったんだけど、朝起きると薄曇り。起きて布団を片付け、コンビニに買い出しに行き、ショップへ向かう。午後からは日射が期待できそうなので、昨日のフライトの解説をしてから上に行くことに。昨日は思っていたより西風成分が強かったみたいで、高峰からは西側の丘陵地帯より少し東に入った谷で発生するサーマルを使って北上したそうよ。
今日の予報は東風がメインなので、燕山から西へ離脱→高速道路の分岐点より半径2㎞の円をかすめ→スカイパーク宇都宮のランディングを目指す というコースとなったわ。宇都宮って確か石河ちゃんのいたエリアよね。アタシ、辿り着けるかしら?
10時過ぎに車で登り始める。大型バスはすれ違いが難しいので、ハイエースに分乗して上がる。今日は車から降りてすぐの場所にある東向きのテイクオフ(通称TOPテイクオフ)を使うの。歩かなくてすんでよかったわ。待っている間に近くの西向きにテイクオフで長島さんのアドバイスを受ける。
「今日は雲底が高くないので、雲底までつけたらグライドしてまた上げ直すを繰り返す」「日本の場合、平野部のサーマルがでるのは大体午後1時から」「ため池はサーマルが出ないけど、溜池の風下の地面はトリガーになる」とかね。今日飛ぶのに参考になったわ。
12時前に晴れ間が出てきたので順次テイクオフしていく。稜線から前に延びる尾根に沿って南に向かい、尾根の先端でサーマルを捕まえる。晴れ間が出たり隠れたりを繰り返して渋い状況が続くの。ヒサ子が他の期待と一緒にランディング方向へ向かうのが見えたので無理せず向かっていたら、平野から出たサーマルにヒットしどんどん高度を上げられたわ。他の機体の動きを見ながらサーマルを上手く乗り継いで1100m手前で視界が白くなり始めたので雲底に。燕山に向かおうかなって思ったら、GPSの行き先がテイクオフを指していたの。シリンダーを設定するのにGPSをコンペモードにしてルートを設定していたから、スタート地点のテイクオフの400m半径に入ったとさせるのに時間と高度をロスしたわ。なんとか燕山まで行こうとするんだけど、山の西側を行っちゃったから東風に押えられながら行く羽目になったの。他の機体が離脱した時にはまだトップアウトもしてなくて、少なくともツリーランする訳にはいかないと少し西に回りながら進んだわ。
東風の影響の少ない所まで出たところで運よく上がりのいいサーマルにヒット。1000mまで上げなおして出ようとした所で長島さんの無線が入ったの。
「思ったより南風が入ってきているので、西に向かうのはやめて北に進路を変えます」
どうしようかしらと思いながら、少しずつ西に出てサーマルを捉えるアタシ。周りを見ると桜川市の市街地辺りで上げているグレーのアドバンス機を見つけたの。多分あれはあや子さんだわ。どうこうさせてもらいましょ。
あや子さんが北西に向かい始めたので平行するように進んだんだけど、高圧線あたりであや子さんがどんどん下がっていくの。さらに下の方で赤い機体がランディングしたのが見えたの。このあたりでランディングしてもよさそうだったけど、北西に見えるゴルフ場あたりで上げている黒い機体が見えたんで、そっちに向かう。ゴルフ場を抜けたあたりで平野が広がり、平野の先で2機が上げていたの。何とかそこに追いつけないかグライドするんだけど追いつけそうになくて、川原にランディング。恐らく、山から離れるタイミングを遅くしていれば、もう少し上げなおして遠くへ行けていたと思うの。それでも今日はテイクオフから直線距離で19㎞の場所だったから、昨日よりはほんの少し伸びて良かったわ。
ランディングしたことを連絡し、パッキングを始める。判りやすい位置に降りたと思うので回収は遅くはならないと思ったら、電話がきたのが降りてから2時間後、車が来たのがその40分後だったわ。車を待っているときにマコちゃんから電話が入り、3人ともショップに帰っていると分かったの。
2日間のXCで思ったのが、やっぱり単独行動にならないように飛ぶことが遠くへ行けると実感したわね。サーマルで上げること自体はそれほど難しくないんだけど、良く上がる場所を見つけるには1人では限界があると感じたわ。